「クロタラリアの根は、地中何c m伸びるの?」

ー土の学校、成木園の準備ー
今期からスタートした「土の学校」では、
苗木を育てる「幼木園(ようきえん)」と、
成木を育てる「成木園(せいぼくえん)」と、
2種類の土づくり・環境づくりに取り組んでいます。
苗木を「幼木園」に植樹して3年間で大きな苗に育て、
無事に成長した苗木は、「成木園」に移植する計画で進めています。
成木園は就職先のようなもので、
定植したら引退まで20年30年と、ずっと同じ場所で生産活動を行います。
果樹は永年作物(えいねんさくもつ)と呼ばれているように、
一度定植したら最後、土を耕すことはできません。
そのため、より長期的で持続可能な土づくり・環境づくりを考えていく必要があります。
その一つとして進めているのが、
緑肥を活用した土づくりです♪
2021年7月に開催した「土の学校(中編)」で、クロタラリアの種を参加者のみんなでまきました。
クロタラリアは豆科の緑肥で、
細根が地中60cm深くまでのびて根っこで土を耕す効果が期待できたり、
根粒菌の働きによって土の中に窒素を固定する働きをしてくれます。
そこで、
実際に根っこが何㎝伸びているかモニタリングしてみました!
掘ってみると、
根っこの先に根粒菌と呼ばれる菌が沢山ついているのが確認できます。
根粒菌は、
マメ科植物の根にその名のとおり、根粒=豆粒のようなものを形成し、
その中に大気中の窒素を取り込み、植物へと供給する働きができる土壌微生物です。
地中15cm〜40cmの深さまで、根粒菌がついているのが確認できました。
そして、クロタラリアの細根が伸びていた深さは約40cmほどでした。
みかん山の土はとても硬いので、40cmも根を伸ばしていけたことにビックリしました!
植物の力ってすごいですね^ ^
クロタラリアは背丈が高くなるほど、根が深くまで伸びるそうです。
今年は1mちょっと背丈が成長しましたが、目標は3m近くまで成長することです。
土の学校の先生「たむさん」いわく
「背丈が3mほどになれば、根が地下60cmは入ります。
つまり硬い硬盤を破るには、背丈3mの葉で作った大量の光合成産物(グルコースエネルギー)を地下に送り込まなければなりません。
そうすれば、根冠ドリルが勢いよく土を掘っていくのです」
とのこと。
来年はもう少し早めに種まきをして、
よりクロタラリアの背丈を伸ばし、根っこもしっかり伸びていけるよう実践していきます。
長期的で持続可能な「成木園」の土づくり・環境づくりが、少しずつ進んでいます♪
またご報告いたしますねー。
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◾️「土の学校」とは?
みかん山の最大の課題は、土づくりです。
現在のみかん山の土は硬くしまって痩せていて、苗木を植えてもうまく育ちません。
そこで、専門的な仲間と協働で、果樹が元気に育つ土づくりを実践する参加型のワークショップ、「土の学校」を開催しています。
▶︎土の学校の先生(専門的な仲間)のご紹介
高知県佐川町で有畜複合農業を営み土壌医の資格も持つTAMファームの代表田村雄一さん、通称「たむさん」
https://www.tam-farm.com
▶︎「たむさん」の著書
「自然により近づく農空間づくり」
⚫︎「土の学校2021」スケジュール
・土の学校(前編)4月17日開催済み
・土の学校(中編)7月8日開催済み
・土の学校(モニタリング編)10月16日開催済み
・土の学校(後編)2022年3月19日開催予定

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◾️ しあわせみかん山とは?

「世界中のみんなで1000年つながる農業と食を育てる」

しあわせみかん山は、
耕作放棄地となった段々畑の山を
自然の力で果実が実る持続可能な山へ再生させていくことを目指して、
果樹自然栽培の実践・研究を行うNPO法人です。

持続可能な農業と食を通じて、人と自然が共生する社会を実現するために、生産者・消費者・地域のみんなで「自然栽培×手つなぎ流通プロジェクト」という参加型の取組みを行なっています。

◾️みかん山の開墾から現在まで

みかん山は高知県東南部、山川海が近い香南市にあります。
東京オリンピックが開かれた1964年に、先代が雑木林を開墾して約2ヘクタール(東京ドームの半分弱)の段々畑を造成。
全盛期には3千本の温州みかんが栽培されていましたが、先代亡き後は後継者がなく耕作が放棄されました。

現在は高齢のためみかんの樹が9割以上枯死し、新たな苗木で改植していく時期を迎えています。

 

ところが、100段ある段々畑は排水不良であちこち崩れかけ、背丈以上に伸びる草が一面に生い茂り、頂上まで続く作業道は雨水で削られて走行が困難。

そのうえ、長い間化学肥料が与えられてきた土壌は劣化して硬く締まり、自然の力で果樹が育つ状態ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

◾️自然の力で果実が実る山へ再生するビジョン

そこで、専門的な仲間と沢山の検討を重ね、荒れた状態の山を多様ないのちと共生する山へ再生する「10年ビジョン」を、2018年度に策定いたしました。

 

この10年ビジョンは、「多様ないのちと共生するみかん山に色々な果樹が元気に育ち、持続可能な農・食・環境の学び場として発展している」将来イメージを描いたものとなっています。

その実現にあたり、2019年から2028年までの10年間を短期・中期・長期と3つのステップに分け、段階的にみかん山の再生を進めていくこととしています。

 

 

 

◾️ 自然栽培×手つなぎ流通プロジェクト

荒れた状態の山を多様ないのちと共生する山へ再生するためには、痩せた土壌を改良し、新たな苗木で改植するため、園地や作業道の基盤整備を行うなど、必要な準備が沢山あります。

また、化学肥料や農薬に頼らず自然の力で果実が実るようになるためには、病害虫に強い木を育てるための土づくりや、病害虫が発生しにくい環境づくりを重視して整備していかなければなりません。

 

 

ところが、このような大がかりな土づくり・環境整備などを実施していくには、経験に基づく専門的な技術や重機などの機械が必須で、多くの資金も必要になります。

しあわせみかん山は素人が集まった本当に小さな団体ですので、自分たちの力だけでは、このような大規模な整備は実施できません。

 

そこで、地域の専門的な仲間と協働で、土づくりや環境づくりを小さな規模で実践研究しながら、

その試行錯誤の過程を応援してくれる仲間(サポーターさん)に共有し、参画型でプロジェクトを進めています。

仲間と過程(プロセス)を共有しながら進めていくことでつながりを育み、生産者だけではなく、消費者や地域が一体となって、1000年つながるみかん山を育てていくことを目指しています。

 

■専門的な仲間と協働で開催しているワークショップやイベント

①「土の学校」

 

②「自分でなおせる道づくり」

③「石積み学校」

④「石の水路づくり」

 

⑤「薪まつり」

持続可能なみかん山の再生に、沢山の方々が参画してくださることで、
個人の方々や企業さんの思いを繋げ、

小さくても自分たちの力で農業と食の問題に取り組んでいける社会を実現したいと思います。
ご理解とご賛同、よろしくお願いいたします。

 

 

◾️応援はコチラから!

サポーターとしてプロジェクトの仲間になる♪
https://mikanyama.org/supporter/