「太陽光を活かすゾーニング」
しあわせみかん山では、
高知県佐川町で有畜複合農業を営むTAMファームの代表、通称「たむさん」を講師に、
農空間(のうくうかん)づくりに取り組んでいます。
たむさんが目指す「農空間づくり」の一番の軸は、生産性と生態系保全が両立する農空間をデザインしていくことです。
どちらか一方に偏らず両方が成り立つことを軸において、土づくりやゾーニングを行っていきます。
前回は、日当たりと排水に課題がある幼木園地に対して、畝の方向と排水設計による対策を実施したことをお伝えいたしました。
たむさんが日射エリアと日陰エリアを分けて設計してくれたことで、
日射が受けにくいのは南から何列目までかを正確に把握することができ、ゾーニングが簡単にできるようになりました。
航空写真を見ると良くわかりますが、土の色が日陰エリアに近づくほど濃くなりますよね。
太陽が当たる時間が長いほど土の表面が乾燥して色が薄くなるので、色が薄い畝が一番長く日が当たる
ことがわかります。
しあわせみかん山の苗木はみかんを主体に、レモン、柚子、小夏、不知火、金柑など試験的に色々な品種を育てていますので、
比較的寒さに強いか弱いかを軸にしてゾーニングしていきました。
現在育てている苗の中で、最も寒さに弱いのはレモンです。
そこで、レモンを一番早く日が当たる入口の畝に配置することに。
その隣の畝からみかんの畝が続き、一番寒さに強い小夏の苗木を最も奥の畝に移植する計画をたてました。
また、日陰エリアには直射日光を嫌うセンリョウや葉ランなど、
花木を栽培する計画で、2024年度は試験的にコットンフラワーを栽培してみましたが、良くできました。
2025年度は日陰エリアでハーブも栽培していく予定です。
農業には適地適作という言葉がありますが、広い範囲で見る適地とは、地域の気候風土や土壌、自然環境などを意味します。
その前提の上でさらにコンパクトに畑の中や畝ごとの適地適作を考える際、
太陽光や排水に合わせたゾーニングという視点も併せ持つと、とても面白くなりますよ。
良かったら参考にしてみてくださいね。
次回は、「2025年2月のワーク成木園づくりvol2」を、配信予定です。
すり鉢状の棚田を果樹栽培に向くマウンド状の園地に整備するには?
成木園地の測量と設計のワークを開催いたしますのでお楽しみに♪
(2025年は、ほぼ毎週木曜日にブログを更新予定です。)
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◆土の学校講師・専門的な仲間 「たむさん」 ご紹介
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田村雄一 1967 年高知県生まれ TAM ファーム代表。
2008 年 近自然農業の実践を目指して、さかわオーガニック&エコロジーラボトリー(SOEL)発足。 佐川町有機農業推進事業受託。2016 年土壌医資格取得。高知県佐川町で乳牛を育て、その堆肥を活用し ニラや水稲を生産。地域内で新規就農や移住のサポートなど若手の育成にも力を入れている。
小説を書くのも得意で、ロマン溢れる一面も合わせ持つ。
壮大なビジョンと豊富な実践経験から生まれるアイディア、家族の絆が魅力的。
著書 「自然により近づく農空間づくり」築地書館
「自分の農地の風・水・土がわかれば農業が 100 倍楽しくなる」築地書館