「日射のエリア分けと排水設計」
しあわせみかん山では、
高知県佐川町で有畜複合農業を営むTAMファームの代表、通称「たむさん」を講師に、
農空間(のうくうかん)づくりに取り組んでいます。
たむさんが目指す「農空間づくり」の一番の軸は、生産性と生態系保全が両立する農空間をデザインしていくことです。
どちらか一方に偏らず両方が成り立つことを軸において、土づくりやゾーニングを行っていきます。
前回は、苗木を育てる幼木園地の「農空間づくり」の方向性は、
「環境と人に負荷をかけず、最小限の工夫で改善」することだとお伝えいたしました。
今回はその詳細をお伝えいたします。以下たむさんのお言葉です。
◆日射のエリア分け
「今回の移転地においては、東~南にかけて山林が覆っており、一日の日射が十分得られないエリアがあります。
一日中日陰になるエリアでは果樹栽培は出来ませんので、日射の確保が可能なエリアと難しいエリアに分けることにしました。 」
◆畝の方向と排水設計
「移転地は緩やかな傾斜地でもあり、畝たての方向を正確に定めないと、
大雨時の湛水や、水の勢いで深く切れ込む浸食が心配されました。
多雨時の水の流れをスムーズにさせるために、畝の方向をフォールダウン(水が自然に流れ下る方向)を重視した構造を考えました。
よって、生産効率を重視する一 般の農地では考えられないような畝方向を設計しました。
斜め方向の畝にすることで、水は自然に低い方向へ 流れてくれます。
写真は、前年(2022年)までこの園地で生姜栽培をされていた方の畝の方向です。(一般的な畝の立て方)
生産者の方曰く大雨時に谷水が流れ込み、プールのようになって生姜が全部だめになったことがあると言われていました。
そこで、畝を斜めにすることに加えて、園地の東側に谷水避けの盛り土を行い、排水溝も兼ねる設計にしました。」
たむさんの設計どおりに斜めに畝立てを行った幼木園地。長老スタッフ「良さん」が活躍してくれました。
代表の岩間も管理機を使いましたが、畝が曲がっています。
「根性が曲がっちゅうがよ」と、長老が揶揄していました。そして、長老撮影の写真はめちゃボケています。(笑)
次回は、「太陽光を活かすゾーニング」
複数種の柑橘苗木をどこに配置するのが適正なのか?
太陽を活かしたゾーニングを共有いたしますので、お楽しみに♪
(2025年は、ほぼ毎週木曜日にブログを更新予定です。)
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◆土の学校講師・専門的な仲間 「たむさん」 ご紹介
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田村雄一 1967 年高知県生まれ TAM ファーム代表。
2008 年 近自然農業の実践を目指して、さかわオーガニック&エコロジーラボトリー(SOEL)発足。
佐川町有機農業推進事業受託。2016 年土壌医資格取得。高知県佐川町で乳牛を育て、その堆肥を活用し ニラや水稲を生産。
地域内で新規就農や移住のサポートなど若手の育成にも力を入れている。
小説を書くのも得意で、ロマン溢れる一面も合わせ持つ。
壮大なビジョンと豊富な実践経験から生まれるアイディア、家族の絆が魅力的。
著書 「自然により近づく農空間づくり」築地書館
「自分の農地の風・水・土がわかれば農業が 100 倍楽しくなる」築地書館